乗馬ライセンス4級の難易度と費用|実技で落ちる理由と駈歩のコツ
乗馬を始めた多くのライダーにとって、最初の本格的な登竜門となるのが「乗馬ライセンス4級」の取得です。馬を歩かせる・小走りにさせる基本操作を問う5級から一歩進み、4級では馬をリズミカルに走らせる「駈歩(かけあし)」の誘導と維持が試験項目に加わります。大自然の中を風を切って走る外乗(ホーストレッキング)を楽しむためのパスポートとしても広く知られています。
しかし、練習を重ねる中で「駈歩が出ない」「どうしてもバランスを崩してしまう」と壁にぶつかり、実技試験への不安を募らせる受講者も少なくありません。本稿では、全国乗馬倶楽部振興協会の技能認定基準に基づき、4級の難易度や合格率の実態、実技試験で落ちる受講者に共通する身体操作の落とし穴、筆記試験対策、費用相場まで徹底的に解明します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:乗馬ライセンス4級の合格率は約85〜90%と高水準だが、実技試験での不合格要因の8割以上は「駈歩発進の失敗」と「手綱・姿勢の硬直」にある。
- 要点2:取得に必要な鞍数は一般的に30〜40鞍前後。総費用はスクール通学・短期合宿・会員レッスンなど取得ルートによって約6万〜15万円の幅が生じる。
- 要点3:合格後は全国各地の外乗コースで駈歩ツアーに参加可能となるほか、履歴書に記載できる公的な技能認定資格として自己PRにも活用できる。
【2026年最新】乗馬ライセンス4級の難易度と実技試験内容|5級との決定的な違い
日本国内の乗馬ライセンスは、公益社団法人全国乗馬倶楽部振興協会が認定を行う公的な技能認定制度です。5級から1級まで段階的に設定されていますが、趣味として乗馬を楽しむ層にとって最も大きな分岐点となるのが「4級」です。
5級が「インストラクターの誘導に従い、常歩(なみあし)と速歩(はやあし)で馬をコントロールする基礎体験レベル」であるのに対し、4級は「自力で合図を出し、速歩の軽速歩・正速歩、そして駈歩の発進から継続・停止までを一人でスムーズに遂行できる自立騎乗レベル」が求められます。単に馬に乗っている状態から、馬の推進力を自らの扶助(脚や手綱の合図)でコントロールする技術が問われる点が決定的な違いです。
実技試験は主に「部班運動(複数の馬が隊列を組んで行う運動)」または「個別の規定経路運動」形式で行われ、以下の項目が審査されます。
- 発進と停止のスムーズさ:常歩から速歩、速歩から停止への移行が手綱を引っ張りすぎずに行えているか
- 軽速歩の手前合わせ:馬の左右の前脚の動きに合わせた正しい斜対歩の立ち座りができているか
- 誘導と蹄跡保持:内方開き手綱や脚を使って馬場沿いを正確にトレースし、輪乗り(円を描く運動)ができるか
- 駈歩の発進と維持:左右の手前(リード脚)を正しく理解し、指定された地点で駈歩を発進させ、決められた周回数を維持できるか
協会の公表データおよび主要乗馬クラブの受講統計によると、乗馬ライセンス4級の難易度は合格率ベースで約85〜90%と決して低くはありません。ただし、これは指導員が見極めを行い「合格基準に達した」と判断した段階で受験するためであり、無対策で誰でも簡単にパスできる試験ではない点に留意する必要があります。

実技試験で落ちる人の意外な共通点|「駈歩の壁」を突破する身体操作のコツ
実技試験において不合格となる受講者には、技術不足というよりも「緊張や恐怖心から生じる身体の反射的な誤作動」という共通点が存在します。現場のインストラクターが指摘する、落ちる人の主な理由は以下の4点に集約されます。
第一に、「手綱の引っ張りすぎによる馬の制動」です。駈歩の合図を出そうと脚(ふくらはぎ)で馬腹を圧迫する際、バランスを崩すまいと無意識に手綱を強く引いてしまうケースが多発します。馬にとっては「走れ(脚)」と「止まれ(手綱)」のブレーキとアクセルを同時に踏まれている状態になり、混乱して首を振ったり停止したりしてしまいます。
第二に、「内股や膝で鞍を締め付けて座骨が浮く現象」です。揺れが大きくなる駈歩に対して身体を固めると、鞍の上でお尻が跳ねてしまい、馬の背中に衝撃を与え続けます。痛がった馬は速歩へ減速するか、バランスを崩して走るのをやめてしまいます。
第三に、「前傾姿勢による推進力の喪失」です。怖さから上半身が前のめりになると、馬の前駆に過度な荷重がかかり、後肢を踏み込んで前へ出る駈歩のメカニズムを邪魔してしまいます。
こうした「駈歩の壁」を突破するための身体操作のコツは、次の3つのポイントを意識することです。
- 座骨を鞍に密着させ骨盤で揺れをスライドする:駈歩の揺れは上下ではなく「前後の波」です。お尻を鞍から離さず、ブランコを漕ぐように下腹部と骨盤を馬の動きに合わせて前上方に送り出します。
- 肘のクッションでハミ受けを柔らかく保つ:馬が駈歩で首を大きく前後に振る動きを邪魔しないよう、肩の力を抜き、肘関節を柔らかく動かして手綱の張りを一定に保ちます。
- 外方脚をやや後方に引いて圧迫する:駈歩は後肢から発進します。内方脚でリズムを作りつつ、外方脚を腹帯より握りこぶし一つ分後ろに引き、馬の外側後肢を刺激して正確な手前での発進を促します。
取得にかかる費用と必要鞍数|通常スクール・短期合宿・クレインの料金比較
乗馬ライセンス4級を取得するまでにかかる一般的な必要鞍数は30〜40鞍(1鞍=約45分の騎乗)です。乗馬未経験から始める場合は約40〜50鞍、すでに5級を取得している方であれば追加で15〜25鞍程度が目安となります。
取得にかかるトータル費用は、どのような受講ルートを選択するかによって大きく変動します。全国展開する大手「乗馬クラブクレイン」をはじめとするスクール通学、地方の乗馬ファームでの短期集中合宿、あるいは会員制クラブでの一般レッスンなど、主な受講形式別の費用と特徴を比較したデータは以下の通りです。
| 取得ルート・受講形態 | 詳細・数値データ(費用・期間) | 一般的な必要鞍数 | 編集部の見解・おすすめ対象 |
|---|---|---|---|
| 大手クラブ通学コース (乗馬クラブクレイン等) | 総額:約60,000〜120,000円 (受講料・装具レンタル・保険込、審査・登録料別) 期間:1〜3ヶ月 | 約30〜40鞍 (コースパック規定鞍数+追加補講) | 都市部近郊から週末に通いたい社会人向け。指導カリキュラムが標準化されており安心感が高い。 |
| 短期集中合宿プラン (地方乗馬ファーム等) | 総額:約90,000〜160,000円 (宿泊費・食事代・レッスン代・受験料込) 期間:3泊4日〜4泊5日 | 1日3〜4鞍 (計12〜16鞍を集中的に騎乗) | まとまった休暇が取れる学生や社会人向け。馬に乗る感覚を短期間で体に叩き込めるため上達が極めて速い。 |
| 正会員・ビジターレッスン (都度受講+個別受験) | 総額:約150,000〜250,000円 (入会金・月会費・騎乗料+審査料) 期間:3〜6ヶ月 | 約40〜50鞍 (マイペースに基礎から習熟) | 資格取得のみにとどまらず、長期的な趣味として本格的な馬場馬術や障害飛越を見据える人向け。 |
※なお、上記費用のほかに、全国乗馬倶楽部振興協会へ納める審査料(約11,000円)およびライセンス登録料(約11,000円)の計約22,000円(税込)が別途必要となります。また、ヘルメット、エアバッグベスト、ブーツ、チャップスなどの装具を自前で揃える場合は、初期費用として別途40,000〜80,000円前後が発生します。

筆記試験の過去問傾向と対策|馬の習性と安全管理をマスターする要点
実技試験と並行して実施される筆記試験ですが、「実技に集中しすぎて筆記の勉強を忘れていた」という事態を避けるため、出題範囲の傾向を把握しておくことが肝要です。試験は全20〜30問程度の選択式・正誤式(○×)および穴埋め記述で構成され、100点満点中70点以上で合格となります。
出題内容は全国乗馬倶楽部振興協会の公式教本『Let's Enjoy Riding』に準拠しており、過去問および頻出分野を分析すると以下の3領域から集中的に出題されています。
- 馬体の名称と骨格・部位:き甲(きこう)、飛節(ひせつ)、繋(つなぎ)、蹄(ひづめ)など、主要な馬体部位の名称と位置を正確に答える問題。
- 馬具の名称と手入れ・装着法:頭絡(とうらく)の各パーツ(ハミ、頬革、鼻革、手綱)、鞍(くら)、腹帯(はらおび)、ゼッケンの役割と正しい手入れ方法(裏掘りの手順、水洗いと油入れ)。
- 馬の習性と心理・安全管理:草食動物特有の視野(約350度)、死角(真後ろ・鼻先の直前)、群れで行動する本能、驚愕反応(物音や急な動きに対する逃走反応)、耳の動きから読み取る馬の感情(耳を後ろに倒しているときは警戒・威嚇)。
筆記試験の難易度は決して高くなく、協会の教本やクラブから配られる対策プリントを2〜3回丁寧に読み込んでおけば、ほぼ確実に合格ラインをクリアできます。特に「馬の視野と死角」「裏掘り(蹄の手入れ)の手順」は毎回のように出題される必須項目です。
【実態検証】取得者の生の声|履歴書評価と全国の外乗(ホーストレッキング)での威力
実際に4級を取得した受講者の体験談や現場の声を検証すると、このライセンスがもたらすメリットは「単なる達成感」にとどまりません。
最大の魅力は、「全国各地の乗馬ファームで駈歩の外乗コースが解禁されること」です。初心者向けの外乗ツアーでは安全確保のため常歩や並足に限定されるケースがほとんどですが、4級ライセンスを提示することで、北海道の大雪山麓トレイル、山梨・八ヶ岳の森林コース、千葉・九十九里浜の海岸疾走など、上級者向けコースへの参加が許可されます。
SNSやコミュニティ掲示板には、以下のような取得者のリアルな声が寄せられています。
「5級のときはただ揺られているだけだったが、4級を取ってからは馬の意思を感じながら自分でコースを選べるようになった。九十九里の砂浜を駈歩で駆け抜けた瞬間の爽快感は、人生観が変わるレベルだった」(30代女性・会社員)
「駈歩がどうしても続かず、一度合宿中に心が折れそうになった。しかし『手綱を緩めて骨盤で座る』感覚を掴んだ途端、馬が嘘のように素直に走ってくれた。動物との意思疎通の深さを学べる素晴らしい経験」(40代男性・公務員)
また、就職活動や転職市場における履歴書(資格・特技欄)での評価についても注目されています。履歴書には「公益社団法人全国乗馬倶楽部振興協会 乗馬技能認定4級」と正式名称で記載可能です。乗馬は国内競技人口が比較的限られているため、採用面接で「なぜ乗馬を始めたのか」「動物との信頼関係をどう築いたのか」といった話題から、体幹や体力の強さ、冷静な状況判断力、非言語コミュニケーション能力の高さをアピールする強力なフックとして機能します。

一般に知られていない盲点とネットの誤解|【プロの結論】向き不向きの判断基準
インターネット上の掲示板や知恵袋などでは、乗馬ライセンス4級に関して一部の偏った情報や誤解が見受けられます。後悔のないライセンス取得のために、事実関係を整理しておきましょう。
よくある誤解の第一は、「運動神経や身体センスがないと駈歩はできない」という思い込みです。乗馬は筋力や反射神経でねじ伏せるスポーツではなく、「馬のバイオメカニクス(生体力学)に人間の重心を同期させる技術」です。正しい座り方と脱力さえ身につければ、運動が苦手な方やシニア世代であっても問題なく合格できます。
第二の誤解は、「実技試験に落ちたらまた最初から高額な受講料を払ってやり直しになる」という不安です。実際には、不合格となった場合でも課題となった部分(駈歩発進や特定の運動)を追加で数レッスン補講し、数週間〜1ヶ月程度で再受験できるシステムを採用しているクラブがほとんどです。
【プロの結論】乗馬ライセンス4級の取得に向いている人・慎重になるべき人の判断基準
以上の実態を踏まえ、ライセンス取得に踏み切るべきかどうかの明確な判断基準を提示します。
【向いている人】
- 自然の中での爽快な外乗(トレッキング)を楽しみたい人:国内外のリゾート地で馬と風を感じて走りたいという明確な動機がある場合、4級は不可欠なパスポートとなります。
- 明確な目標・マイルストーンを設定して上達したい人:ただ漫然と乗るよりも、試験という期限と合格基準がある方が集中して練習に取り組めます。
- 動物との非言語コミュニケーションやメンタルコントロールを磨きたい人:自らの緊張や焦りがそのまま馬に伝わるプロセスを通じて、深い自己客観視を体験できます。
【慎重になるべき人】
- 月に1回未満など、騎乗の間隔が極端に空いてしまう人:駈歩の随伴(骨盤の動き)は筋肉の記憶が重要です。間隔が空きすぎると感覚を忘れ、必要鞍数と費用が想定以上に膨らむリスクがあります。
- 装具代や騎乗料などの中長期的なコスト計画を立てていない人:ライセンス取得後も乗馬を継続する場合、月々の維持費や追加装具の費用が発生するため、あらかじめ予算の全体像を把握しておくことが推奨されます。
【乗馬 ライセンス 4 級】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:5級を取得していなくても、いきなり4級から受験することは可能ですか?
A1:全国乗馬倶楽部振興協会の規定上、5級をスキップして4級から直接受験することは制度上可能です。ただし、速歩の軽速歩や手前合わせなどの基礎が完全に身についている必要があるため、スクールによっては安全面を考慮して5級取得からのステップアップを推奨する場合があります。過去の乗馬経験に応じて担当インストラクターと相談することをおすすめします。
Q2:実技試験の本番中に落馬してしまったら、その場で即座に不合格になりますか?
A2:原則として、実技試験中の落馬は安全管理上の観点からその時点で試験中止・不合格判定となります。ただし、馬の突発的な驚きなど受験者側の技術的過失によらない不可抗力と審査員が判断した場合は、安全を確認した上で再騎乗または別日程での再試験措置が取られるケースもあります。
Q3:4級を取得するためには、どのくらいの頻度で通うのが理想的ですか?
A3:最も効率よく合格を目指す場合、「週に1〜2回(1日2鞍程度)」のペースで通うのが理想です。身体が前回の騎乗感覚を覚えているうちに反復練習を行うことで、30鞍前後の最短ルートで駈歩をマスターできます。時間が取れない場合は、連休を利用した3〜4日間の集中合宿プランを活用するのも有効な選択肢です。
まとめ:乗馬ライセンス4級で広がる乗馬ライフと次の一歩
乗馬ライセンス4級は、単なるペーパー資格ではなく、「自らの合図で馬を駈歩させ、意のままに操る」という乗馬本来のダイナミズムを体感するための決定的な通過点です。
実技試験でつまずく原因の多くは、技術の優劣ではなく、恐怖心から手綱を引っ張ったり身体を固めたりしてしまう自然な防衛反応にあります。正しい骨盤のスライドと脱力を意識し、馬のリズムに身を委ねる感覚を掴むことができれば、「駈歩の壁」は必ず乗り越えられます。
4級を取得した先には、全国の風光明媚なトレイルを駆け抜ける外乗の醍醐味や、さらに高度な馬場馬術・障害飛越を目指す3級への道が広がっています。ご自身のライフスタイルや予算に合わせた最適な受講ルートを選び、馬と心を通わせる素晴らしい乗馬ライフへの第一歩を踏み出してください。 (出典: 乗馬 ライセンス 4 級(Yahoo!ニュース))